SP TOKYO

お知らせ
お問い合わせ
twitter
facebook

書籍一覧
カテゴリ 美術・考古 

故宮の名画を読む―秘められた背景

故宮の名画を読む―秘められた背景

[著者] 余 輝
[監修] 河内 利治
[翻訳] 青木 優子
[定価] ¥5,800 (税抜) [発売日] 2020年08月13日
[ISBN] 978-4- 907051-56-3 [Cコード] C1071
[ページ数] 240ページ [判型] B5判/並製

内容紹介

中国名画四十六点の制作動機をさぐり、絵画に描かれた背景を明かす。 北京故宮博物院の至宝といわれる名画たちが物語る――絢爛たる歴史故事、皇帝たちの天下泰平への願い、画家による為政者への警告、諫言、画家による諜報活動の報告、理想の女性教育の教本、失意の隠遁者の胸の内、などなど、一点一点のエピソードはなんとドラマチックなことか! 読者を興味つきない中国画の世界へ誘います。

 目次 

監訳者はしがき 3
古画の謎
――画家の創作動機を探る 7
一 女性教育の手本
――東晋顧愷之「列女図」巻(南宋模本)12
二 顧愷之の「伝神」人物画
――東晋顧愷之「洛神賦図」巻(北宋模本)18
三 民族の友好関係、歴史を証明する図
――唐代閻立本「歩輦図」巻(北宋模本)30
四 落葉は宮怨を聞き、紈扇は春秋を知る
――唐代周昉(伝筆)「揮扇仕女図」巻 34
五 人馬に女真族の風俗を見る
――五代胡瓌(伝筆)「卓歇図」巻 40
六 兄弟の宮中での徳行を画く
――五代南唐周文矩「重屏会棋図」巻(北宋模本)44
七 「相敬相愛」夫婦の隠遁生活
――五代南唐衛賢「高士図」巻 50
八 歴史画で朝政に諫言
――五代南唐顧閎中(伝筆)「韓煕載夜宴図」巻 54
九 唐画の趣と宋画の雅趣
――北宋李公麟「臨韋偃牧放図」巻 68
十 山水を行く行商の旅
――北宋作者不詳「盤車図」軸 72
十一 素晴らしい江山
――北宋徽宗「雪江帰棹図」巻 76
十二 花石を描き、国運を託す
――北宋徽宗「祥龍石図」巻 80
十三 錦鶏は五徳の寓意
――北宋徽宗(伝筆)「芙蓉錦鶏図」軸 86
十四 画中の音色
――北宋徽宗(伝筆)「聴琴図」軸 92
十五 夭折の天才画家王希孟
――北宋王希孟「千里江山図」巻 94
十六 繁栄のかげに潜む危うさ
――北宋張択端「清明上河図」巻 100
十七 仙人に道を問う道教の始祖
――北宋楊世昌(伝筆)「崆峒問道図」巻 110
十八 書画によって冤罪を晴らす
――南宋趙構の書、馬和之の絵「赤壁後游図」巻 114
十九 宮殿、皇族をたたえる松林
――南宋趙伯驌「万松金闕図」巻 120
二十 女性教育の絵巻をめぐる宮中よもやま話
――南宋作者不詳「女史箴図」巻 124
二十一 豊年を喜び舞踏する農夫たち
――南宋馬遠「踏歌図」軸 132
二十二 金軍川渡り訓練のスパイ画
――南宋作者不詳「柳塘牧馬図」頁 136
二十三 波乗りでからくも国家の安寧を得る
――南宋李嵩「銭塘観潮図」巻 140
二十四 栄誉には目もくれぬ自由放逸の境地
――南宋梁楷「秋柳双鴉図」頁 144
二十五 唐への思慕を表現する人馬画
――金代趙霖「昭陵六駿図」巻 146
二十六 昔を懐かしみその趣を表現
――元代趙孟頫「秀石疏林図」巻 150
二十七 青緑山水にあふれる雅趣
――元代趙孟頫「秋郊飲馬図」巻 152
二十八 冴えわたる山水は道教のこころ
――元代黄公望「九峰雪霽図」軸 156
二十九 漁父、魚の楽しみを知る
――元代呉鎮「漁父図」軸 158
三十 建築の制約を越える界画
――元代王振鵬(伝筆)「龍舟奪標図」巻 160
三十一 漢民族の怨みを画く
――元代陳及之「便橋会盟図」巻 166
三十二 不遇をかこち隠居を願う
――元代王蒙「葛稚川移居図」軸 170
三十三 人の姿を似せるだけでなく精神をも画く
――元代王繹「楊竹西小像図」巻 174
三十四 歴史上の事件を鮮やかに描写
――周朗「仏郎国献馬図」巻(明代模本)178
三十五 皇帝が子宝を願って画く
――明代朱瞻基(宣徳帝)「苦瓜鼠図」巻 182
三十六 鷹は怒らずとも威あり
――明代林良「鷹雁図」軸 184
三十七 古代の故事を国民の安泰を求める暗喩に
――明代朱端「弘農渡虎図」軸 188
三十八 泪で濡れた墨のおもむき
――明代徐渭「墨葡萄図」軸 190
三十九 心を澄ませて無我の境地に入る
――明代藍瑛「澄観図」冊 194
四十 鏡に映る影のように描き人物の本質も伝える
――明代曽鯨「葛一龍像」巻 200
四十一 根は土を失って泣き花は実を結ばぬを笑う
――清代朱耷「古梅図」軸 204
四十二 画中に庭園あり、庭園の中に画あり
――清代王時敏「杜甫詩意図」冊 208
四十三 初めて鎧甲をつけて行幸する皇帝
――清代郎世寧「乾隆皇帝大閲図」軸 216
四十四 筆の代わりに指で画く
――清代高其佩「高崗独立図」軸 218
四十五 肖像画からその人生をしのぶ
――清代肖像画談義 222
四十六 美人画を改め女兵士を画く
――清末海派仕女画小論 226
後記 234
美術用語ノート 236
訳者あとがき 238

著者/監修者/翻訳者紹介

余輝
1959 年北京生まれ。1983 年に中国南京師範大学美術学部学士、1990 年に中国中央美術学院美術史学部修士。同年故宮博物院に入社、書画の陳列及び研究に従事。同古書画部主任、科学研究処処長及び研究室・出版部主任を歴任。現在故宮博物院研究館員、国家文物鑑定委員会委員。中外文化交流研究所所長、浙江大学博士指導教官を兼任。著書5 点、研究論文40 編余りがある。

河内 利治(字・君平)
1958 年大阪生。筑波大学大学院文芸・言語研究科(中国文学専攻)一貫博士課程単位取得退学。博士(中国学)。1981 年~ 83 年、中国政府奨学金進修生として浙江美術学院国画系に留学。書法史論と文字学を沙孟海、篆刻と印学史を劉江、古代漢語を章祖安、中国美術史を王伯敏、花鳥画を盧坤峰に学ぶ。現在大東文化大学文学部教授。書学書道史学会副理事長、日展会友、西泠印社名誉社員。
単著:『書法美学の研究』(汲古書院、2004 年)、『黄道周研究』(汲古書院、2020 年)
単訳:王伯敏著『中国画の基礎構図』(雄山閣、1985 年)、熊秉明著『中国書論の体系』(白帝社、2006 年)
監修:中国中央電視台編『中国書道の至宝』(科学出版社東京発行・国書刊行会発売、2013 年)
監訳:故宮博物院編『王羲之王獻之書法全集(全十八巻)』(科学出版社東京発行・ゆまに書房発売、2015 年)

青木 優子
立命館大学大学院文学研究科(東洋文学思想専攻)博士後期課程単位取得退学。文学修士。立命館大学文学部助手、京都橘大学講師を経て、現在大東文化大学人文科学研究所兼任研究員。