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カテゴリ 美術・考古 

洛陽銅鏡 (上下巻)

洛陽銅鏡 (上下巻)

[著者] 主 編 霍宏偉 史家珍
[監修] 岡村 秀典
[翻訳] 田中 一輝・馬渕 一輝
[定価] ¥36,000 (税抜) [発売日] 2016年09月30日
[ISBN] 978-4-907051-36-5 [Cコード] 0022
[ページ数] 464ページ [判型] A4 判変型 フルカラー(全2 巻)

内容紹介

洛陽は中国最初の夏王朝の発祥地であり、以後、北宋まで計十三王朝がここに都を設置した。西周時代の「何」尊という青銅酒器には、周の成王が洛陽で天をまつり、「この中国にり、ここより民を治めん」と宣言したという銘文が記されている。それは洛陽こそが「中国」、すなわち世界の中心だというのである。  遠く海をへだてた日本の古代国家が、高度な文明を求めて使いを送ったのも洛陽であった。いまから二〇〇〇年ほど前、倭の奴国王の使者が後漢の都洛陽における正月の儀式に参列し、光武帝から印綬を与えられた。それが福岡県志賀島から出土した「漢委奴国王」金印である。下って二三九年には、倭女王の卑弥呼が難升米らを魏の都洛陽に派遣した。このとき魏帝は卑弥呼を「親魏倭王」に任命し、さまざまな織物類や「銅鏡百枚」などを下賜した。この「銅鏡百枚」をめぐって、日本の古墳から大量に出土する三角縁神獣鏡か否か、考古学者はもとより、多くの古代史ファンを巻きこんだ大論争になっている。それは邪馬台国の所在地論争、ひいては倭王権の形成論ともかかわっているからである。  六〇七年には聖徳太子の派遣したがここ洛陽において隋のに謁見し、「日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す、なきや、云云」という国書を奉じた。洛陽はシルクロードの終着駅として西域諸国から多くの商人が来訪し、正倉院宝物などもここを経由して日本にもたらされた可能性が高い。  本書には洛陽から出土した三〇〇面の古鏡を収録する。その多くは考古学者の発掘したものであり、中国最古の年号鏡である前漢の永始二年(紀元前十五)四神博局鏡をはじめ、被葬者の名と没年を記した墓誌をともなう唐鏡など、鏡の年代を考える基準資料も少なくない。出土墓の調査報告を抄録した「洛陽出土銅鏡資料長編」はきわめて高い学術的意義をもち、中国鏡の研究者だけでなく、日本考古学の研究者や古代史ファンにも必携のハンドブックとして推薦したい。 洛陽は中国最初の夏王朝の発祥地であり、以後、北宋まで計十三王朝がここに都を設置した。西周時代の「何」尊という青銅酒器には、周の成王が洛陽で天をまつり、「この中国にり、ここより民を治めん」と宣言したという銘文が記されている。 本書には洛陽から出土した三〇〇面の古鏡を収録する。その多くは考古学者の発掘したものであり、中国最古の年号鏡である前漢の永始二年(紀元前十五)四神博局鏡をはじめ、被葬者の名と没年を記した墓誌をともなう唐鏡など、鏡の年代を考える基準資料も少なくない。出土墓の調査報告を抄録した「洛陽出土銅鏡資料長編」はきわめて高い学術的意義をもち、中国鏡の研究者だけでなく、日本考古学の研究者や古代史ファンにも必携のハンドブック

 目次 

上巻
序 孔祥星
凡例
洛陽銅鏡の発見と研究
洛陽銅鏡の発展と変遷
上編 洛陽出土銅鏡図録
 一 戦国銅鏡
 二 両漢銅鏡
 三 魏晋北朝銅鏡
 四 隋唐五代銅鏡
 五 宋金元明銅鏡

下巻
下編 洛陽出土銅鏡資料長編
 一 戦国銅鏡
 二 両漢銅鏡
 三 魏晋北朝銅鏡
 四 隋唐五代銅鏡
 五 宋金元明銅鏡
付録 『 洛陽出土石刻時地記』
関連銅鏡資料
参考文献
後記
洛陽出土鏡と日本――監訳者あとがき

著者/監修者/翻訳者紹介

霍 宏偉(フオ ホンウェイ)
1966年河南省洛陽市生まれ。現在、中国国家博物館学術研究センター研究館員、中国古都学会理事。専攻は漢唐考古学・鏡鑑学。1988~2004年に洛陽市文物工作隊に勤務し、洛陽東周王城西城壁、隋唐洛陽城磚瓦窯址、100基あまりの古墓を発掘した。2009年四川大学歴史文化学院考古学系の歴史学博士を取得し、国家文物局の考古発掘隊長の資格をもつ。主な編著に『洛陽両漢彩画』(文物出版社、2015年)、共編著に『中国銭幣大辞典』考古資料編(中華書局、2006年)などがある。
史 家珍(シー チアチェン)
1963年河南省長葛県生まれ。現在、洛陽市考古文物研究院院長、研究員。1986年鄭州大学歴史系考古専業を卒業。国家文物局と河南省文物局による考古発掘隊長訓練班に2回参加し、考古発掘隊長の終身資格をもつ。洛陽にて多くの大規模な古代遺址や重要な墓葬を発掘し、そのうち全国十大考古新発見に5項目、国家文物局の田野考古賞に3項目が選ばれている。共編に『洛陽碑志十八品』(河南美術出版社、2007年)、『尋踪覓古―洛陽市文物考古研究院近年重要考古発現成果』(中州古籍出版社、2013年)などがある。

〔監訳者〕
岡村 秀典(おかむら ひでのり)
1957年生まれ。京都大学文学部卒業、同大学院大学研究科博士後期課程から京都大学文学部助手、九州大学文学部助教授、京都大学人文科学研究所助教授を経て、現在、同教授。文学博士。中国考古学を専攻。主な単著に『中国文明 農業と礼制の考古学』(京都大学学術出版会、2008年)、『夏王朝 中国文明の原像』(講談社学術文庫、2007年)、『中国古代王権と祭祀』(学生社、2005年)、『三角縁神獣鏡の時代』(吉川弘文館、1999年)、主な編著に『世界美術大全集 東洋編第1巻先史・殷・周』(小学館、2000年)などがある。

〔翻訳者〕
田中 一輝(たなか かずき)
1983年生まれ。立命館大学文学部卒業、京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、滋賀医科大学非常勤講師(2012年~)、京都大学非常勤講師(2013年~)、大手前大学非常勤講師(2013年~)、奈良大学非常勤講師(2015年~)、花園大学非常勤講師(2015年~)。京都大学博士(文学)。専攻は中国古代・中世史。特に西晋政治史・漢魏洛陽城・北朝史学史を研究。
馬渕 一輝(まぶち かずき)
1991年生まれ。同志社大学文学部を卒業し、現在、京都大学大学院文学研究科修士課程に在学中。中国考古学を専攻し、主に後漢代の銅鏡を研究する。主な論文に「斜縁同向式神獣鏡の系譜」(『森浩一先生に学ぶ 森浩一先生追悼論集』同志社大学考古学シリーズⅪ、2015年)などがある。